【論語を経営に活かす】はじめに

『論語』は、中国の春秋時代の思想家である孔子とその高弟の言行を、孔子の死後に弟子が記録した書物です。儒教の経典であり、朱子学における「四書」の1つに数えられています(残りは『孟子』、『大学』、『中庸』)。
その内容の簡潔さから儒教入門書として広く普及し、中国の歴史を通じて最もよく読まれた本の1つとなっています。
『論語』は人間社会における「仁」や「徳」の大切さを説いたものですが、僕のInstagramでは、『論語』の中から企業経営に活かすことのできる教えを抽出する、という試みをやってみたいと思います。
日本の資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は、役人の世界から実業界に身を転じる時、「『論語』で事業を経営してみせる」と言ったとされます。実際、渋沢は『論語』から経営のエッセンスを大いに学んでいました。
その一部は、竹内均編(2004)『渋沢栄一「論語の読み方」』(三笠書房)で知ることができます。
とりわけ特徴的なのが、「富」に関する考え方です。ややもすれば、『論語』は富を否定し、清貧に生きることをよしとしていると解釈されることがあります。ところが、渋沢は「孔子は真っ当な方法で稼いだ富のことを肯定していた」と主張します。
「子曰く、富と貴(たっと)きとは、これ人の欲(ほっ)する所なり。その道を以てこれを得ざれば、処(お)らざるなり。貧しきと賤(いや)しきとは、これ人の悪む所なり。その道を以てこれを得ざれば、去らざるなり。〔里仁〕
富と地位とは万人の欲するところである。しかし、これを得るためにはそれ相当の方法がある。つまり学を修め功を立て、身をつつしみ徳をそなえることだ。富貴そのものはもとより悪いものではなく、青年の目的としてよいが、これを獲得する手段方法については、慎重な態度が必要であるというのが、孔子の趣意であろうかと思われる。
ところが従来の学者の説では、往々にして本項の『人』を悪人の意味に解釈して、富と地位は悪人の要求するものであって、これを獲得するには不正な方法をもってする必要があるから、君子はこれに近づいてはいけない。富と地位とが外より舞い込んできても、これを避けるべきであるかのように説いたりする。
これはまったくいわれなき偏見である。孔子の趣意は正道でなく、無法をあえてして獲得した富貴が悪いというだけのことである」(p89-90)
向こう1年ぐらいかけて、『論語』の中かから僕のお気に入りの文章を紹介し、それを企業経営にどう活かすことができるのかを解説していきます。
なお、僕は以前から、経営には「伝統的経営」、「アメリカ型イノベーション」、「新しい日本的経営」という3つのタイプがあると考えています。
◆伝統的経営◆
創業者や経営者の原体験に基づく経営理念の実現に向けて、顕在化している、あるいは顕在化しつつある顧客ニーズを充足するための戦略を論理的に構想し、実行する経営。
◆アメリカ型イノベーション◆
従来の顧客の消費行動や業界の慣習を否定し、イノベーターの強みを活かして、グローバル規模で新しい標準・規範・ルールを打ち立てることを通じ、これまでにない市場や産業を創造する経営。
◆新しい日本的経営◆
明確な経営理念や強みがない場合に、限られた資源、とりわけ人とのつながりに着目し、相互理解を積み重ねながら、偶発的な出来事を直観的に活用して、予想外の展開を楽しむ経営。
端的に言えば、「伝統的経営」とは、既知のニーズを充足するマーケティング、「アメリカ型イノベーション」とは、未知のニーズを創造するイノベーションのことです。どちらもまずははっきりとした事業の目的を設定し、それを実現する手段を論理的に導き出すことを特徴としており、偉大な企業になるには避けて通れない道となっています。
しかし、世の中の全ての企業が偉大な企業になれるわけではなく、また偉大な企業を目指しているわけでもありません。
はっきりとした事業の目的はなくとも、手持ちの手段をよい意味で場当たり的に活用しながら、それなりの成果を上げている企業もたくさんあります。僕は、経営の第三の道として、「新しい日本的経営」というものを用意しようと目論んでいます。
3つの経営タイプは、どれがよい、どれが悪いというものではありません。3つは相補関係にあり、豊かな産業社会を形作るにはいずれも重要なピースです。
とはいえ、今回『論語』を通じて僕が語りたいのは、主に「伝統的経営」の話です。というのも、「伝統的経営」が3タイプの中で最もベーシックなものだからです。
以上を踏まえた上で、『論語』の解説記事をお楽しみください。なお、各投稿で紹介する書き下し文や現代語訳は、金谷治訳注(1999)『論語』(岩波書店)からの引用です。
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納富信留『プラトン(哲学のエッセンス)』―プラトンの全体主義的な香りをアメリカは笑えない

NHK出版が出している「哲学のエッセンス」
第1弾は『プラトン―哲学者とは何か』。プラトンの『対話篇』
ソクラテスと言えば「無知の知」が有名ですが、
ある時、ソクラテスの友人がデルフォイのアポロン神殿に赴き、「
ソクラテスは神託に困惑し、世間で「知者」
ところが、政治家、詩人、職人たちは、当初の予想に反して、
ソクラテスは、神託の意味をこう解釈しました。
ソクラテスは自らの不知を証すために、そして人々の誤った「
「真に神を、その知と存在の絶対性において認めることは、逆に、
例えば、ソクラテスは「(政治に必要な)勇気とは何か?」
アポリアに陥った者は、
プラトンの従兄であるクリティアスもまた、
前5世紀末のアテナイでは、
元々民主政に批判的であったプラトンは、寡頭政治に大きな期待を寄せていました。ところが、彼らが「
勢力を盛り返した民主派はクリティアスらを敗死させ、
プラトンは、
ソクラテスは、クリティアスの「思慮深さ」の理解に欠点があり、
プラトンがクリティアスの失政から学んだのは、
しかし、一部の限られた人が絶対的に正しいことを追求する政治というのは、全体主義的な香りがします。
一部の人だけが絶対知に至るということは、残りの人は中途半端な知にとどまるということです。だからと言って、政治があらゆる人のためのものである以上、絶対知は中途半端な知を簡単に排除することができません。中途半端な知を内包しながら絶対性を志向することは果たして可能でしょうか?
また、プラトンは政治の目的を「人々がより善く生きること」だとしましたが、より善く生きるのは絶対知を有する側であって、絶対知に従う側、すなわち中途半端な知にとどまる側は「より善く生かされる」にすぎず、政治の目的はついに果たされることがないようにも思えます。
何よりも、絶対知を求める哲人は、先ほどの引用文を借りれば「人間に許されるかぎり神に似ようと努め」ているわけですが、神に近づくことはできても神になることはできません。
ということは、哲人の知は決して絶対知ではなく、どこまで行っても中途半端な知なのであり、哲人政治の結末は恐怖政治を行ったクリティアスとさして変わらないのではないかという気もします。
全体主義は理想としては結構なのですが、本質的に論理矛盾をはらんでいます。それゆえ、最初は華々しい成功を収めても、最後は派手に破綻することを歴史が証明しています。
アメリカは伝統的に全体主義を忌み嫌っており、現在でもいくつかの全体主義的な国家を敵視しています。ところが、個人的にはそのアメリカ自身も全体主義的な思想を育んでいるように感じられる時があります。
一部の限られた人が絶対知を追求するから全体主義は論理破綻すると書きました。ならば、全員が絶対知を追求すれば問題は起きない、とアメリカの一部の人は考えているようです。
経営学の分野で2000年代から注目されている「学習する組織」、「U理論」、「ティール組織」は、まさにソクラテスのような対話を通じて人々の偏見や思い込みを取り除き、個々の違いを乗り越え、全員が意識レベルを統一させて新しい地平、標準、規範を切り拓く、という点で共通しています。
端的に言えば、全員が神を目指しています。その意味で、より高度な全体主義と言えます。しかしながら、繰り返しになりますが、人間は神に近づくことはできても、神になることはできません。結局、不完全な知が全体を破滅させるリスクから逃れることができないと思うのです。
全員の知が中途半端であることを自覚し、その中途半端な知を持ち寄って、暫定的な解を導き出しながら漸進することが、本当の意味で「より善く生きる」ことになると個人的には思うものの、世界はなかなかそう信じてくれないようです。
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山崎義人他『はじめてのまちづくり学』―「新しい日本的経営」とまちづくりの共通性

以前の記事「5回目のコーチングを受けました」(https://tomohikoyato.livedoor.blog/archives/19834151.html)で、「土浦駅近隣の活性化に貢献したい」という話をしましたが、どこから手をつけようかと思案した結果、まずはまちづくりの入門書を読もうと本書にたどり着きました。
(《お願い》土浦市でまちづくりに携わっている人・場所をご存じでしたら教えていただけると大変助かります!)
「まちづくりは、この本を読む『あなた』がまちを楽しむことから始まります。『まち』というと捉えどころのない言葉に聞こえますが、基本的には、目の前の大切な人やものを自分なりに守り育てていくという小さな日常世界の集積です。
他者を含む大きな社会を考えるものだとも思いがちですが、実は自分が住みたいまち、関わりたいコミュニティをどう現実のものにするか、という主体性が不可欠です」(p16)
僕が最近考えている「新しい日本的経営」に通じていると勝手ながら共感しました。僕は、経営のタイプを「伝統的経営」、「アメリカ型イノベーション」、「新しい日本的経営」の3つに分けてとらえるようにしています。
僕が観察したところによると、多くの企業は、比喩的に言えば「半径5mの世界でのみ勝負」しています。繰り返しやって来る顧客に対し、漫然と繰り返し製品・サービスを提供するだけです。
業績不振に陥っている中小企業の話かと思われがちですが、大企業であっても、大規模なオフィスビルに入っていると、案外オフィスビルの中だけで事業が完結してしまうものです。社員はオフィスから出ることなく、もっと言えば、自分のデスクから移動することなく仕事をしています。そういう大企業もやはり、「半径5mの世界でのみ勝負」しています。
それは「運営」であっても「経営」ではないという問題意識を出発点として、経営学は発展してきました。
まず、「伝統的経営」とは、「半径5mの世界」を「半径10kmの世界」に広げるような取り組みです。ターゲットとなる市場を設定し、顧客ニーズを分析して、ニーズを充足する製品・サービスを確実に届ける仕組みを構築します。一言で言えばマーケティングのことです。
半径10kmどころか、「世界そのものを大きく変える」のが「アメリカ型イノベーション」です。革新的な製品・サービスを通じて人々の意識、価値観、嗜好、行動様式を変えます。つまり、新しいニーズを創造します。そして、新しいニーズを充足するための新たな産業構造を構築し、世界を一変させます。
ただ、「半径5mの世界でのみ勝負する」スタイルから脱却する方法として、「半径10kmの世界へと広げる」タイプと、「世界そのものを大きく変える」タイプしかないのか?と僕はこの頃疑問に感じています。
さらに言うと、「伝統的経営(マーケティング)」は利他の精神、つまり顧客への奉仕が強調されるあまりに、働く人が自分らしさを発揮する場面が限定されます。逆に、「アメリカ型イノベーション」は、イノベーターの都合で新しい世界観が設定されるため、それに従う顧客側が自分らしさを失いがちになるという問題をはらんでいます。
僕が構想している「新しい日本的経営」とは、「半径5mから変えていく」ものです。
手持ちの資源、それも決して恵まれているとは言えない資源(特に人間関係)を大切に守り育てていきながら、顧客側も働く側も自分らしさを発揮できるような、コミュニティのような事業のことです。いや、このコミュニティにおいては、顧客と企業という境界線は消えるのかもしれません。
本書には、「まち歩きやまちの調査を通じて、まちを好きになることから始めよう」、「まちづくりに関わっている人たちの人脈を整理し、相関図を描いて、誰と誰を結びつけたら新しい何かが起きそうか考えてみよう」といったメッセージが含まれていました。これらのエッセンスを「新しい日本的経営」にも取り入れてみようと思います。
「伝統的経営」や「アメリカ型イノベーション」が課題(=人々のニーズや社会の諸問題)にフォーカスした合理的で戦略的な経営を志向するのに対し、「新しい日本的経営」はどこまでも人間関係にフォーカスし、面倒で非効率であっても相互作用から生まれる偶発性を楽しもうとするものです。
「新しい日本的経営」の7ステップを以下の通り暫定的に定めました。今後、さらに構想を膨らませてみたいと思います。
①自分を好きになる(自己理解を深める)
②人脈を棚卸する
③他者を好きになる(他者理解を深める)
④自己と他者の協働領域を定める
⑤さらに他者を巻き込む
⑥相互作用によって生まれる偶然やプロセスを楽しむ
⑦自己/他者理解を深める(⇒①~③に戻る)
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坪谷邦生『図解 組織開発入門』―「ティール組織」の前に、もっと「素朴な知性」に注目したい

チェンジエージェント、サーベイ・フィードバック、
最近、あるクライアントとの間でティール組織が話題に上がったので、特にティール組織に注目して読んでみました。
2014年、フレデリック・ラルーは世界中の組織を調査し、新しい組織モデルについての考察をまとめて『Reinventing Organizations』を発表しました。その中で紹介されたのが「ティール組織」です。日本では2018年に『ティール組織』(英治出版)というタイトルで邦訳され、それをきっかけに一気に注目されるようになりました。
ティール組織は、アメリカの思想家でありトランスパーソナル心理学者でもあるケン・ウィルバーの「インテグラル理論」を下地にしています。
インテグラルとは「統合的」という意味であり、自然科学・社会科学・人文学といったあらゆる学問を統合し、包括的に考察しようという試みから生まれた理論です。
その中に、「人間の成長過程の発達モデル」というものがあります。人は大人になっても成長していくという考え方で、その段階を色で表現しています。
インテグラルとは「統合的」という意味であり、自然科学・
その中に、「人間の成長過程の発達モデル」
<低次>
↓レッド(利己的段階):衝動・自由
↓ブルー(神話的段階):信念・忠誠
↓オレンジ(合理的段階):分析・戦略
↓グリーン(多元的段階):価値・自己探究
↓イエロー(統合的段階):再構築・心身統合
<高次>
ラルーは、この発達モデルを組織にあてはめ、組織も成長・発達を続けられるとしました。
<低次>
↓レッド(衝動型):圧倒的な支配者がトップに立つ組織
↓アンバー(順応型):トップダウンの階層的構造を持つ組織
↓オレンジ(達成型):目標達成を第一に考える合理的な組織
↓グリーン(多元型):メンバーが主体的に行動できる組織
↓ティール(進化型):個人が意思決定できるフラットな組織
<高次>
(*)ラルーはブルーの代わりにアンバーを、イエローの代わりにティールを用いています。
従来の経営学はオレンジに対応しています。組織内外の環境を緻密に分析して合理的な戦略を立案し、戦略を現実の目標に落とし込んで、論理的な手段によってそれを実現するというものです。
『図解 組織開発入門』では、「オレンジ達成型として勝ち続ける組織モデル」(p164)としてジム・コリンズのビジョナリーカンパニーが紹介されています。コリンズは現代経営学の父であるピーター・ドラッカーを尊敬していましたから、ドラッカーもまたオレンジ型であると言えます。
そして、近年のアメリカでは、「ドラッカーはもう古い」と評価されるようになっています。組織が合理性を最優先した結果、何が起きたでしょうか?
まず、組織間では、どの組織も自らが掲げる目的が最も合理的であると信じ、目的の正当性をめぐって果てしない競争が続くことになりました。また、組織の合理性とは一般に経済合理性のことであり、経済的な価値を追求するあまりに、環境問題をはじめとする様々な社会的課題を残しました。
組織内部に目を向けると、合理的な分析・戦略立案ができる人が偉いとされ、そうでない人は人間的価値を貶められました。一部の経営企画スタッフや経営コンサルタントは、往々にして現場を軽視してしまうものです。
端的に言えば、組織間と組織内の両方で、深刻な断絶を生み出してしまったのです。
グリーンやティールとは、バラバラになった社会を再統合する知性です。
社会のメンバー全員が社会のあらゆる課題に目を向け、その多様性に驚かされつつも、課題の背後にある従来の価値観、文化、思考、行動様式、慣習、制度、構造を丁寧に疑い、新しい秩序の下に新しい包摂的な社会をともにデザインしていく、というものです。
つまり、社会的なイノベーションを民主化する動きです。
ただ、個人的には、ここまで壮大な話ではなく、もっと「素朴な知性」を前提とした話があってもよいのではないか?と感じます。
ティールでは、①大きな共通の目的を設定し、②目的を阻害する課題を特定し、③課題の解決に向けて社会のメンバーが利他の精神で臨むことが求められます。
しかしながら、①広範な多様性を包摂する共通の目的を本当に設定できるのかは大いに疑問です。せいぜい、ざっくりとした合意が関の山ではないでしょうか?また、②我々が大きな社会課題の前に理解すべきは、目の前にいる人間そのものではないかとも思えます。
さらに、③利他の精神はもちろん重要ですが、同時に自分らしさを発揮し、楽しくありたいものです。そうしなければ、我々は人間性を失い、単に他者のニーズを充足するだけの道具になり下がってしまうからです。
ティールが「課題志向」のモデルであるとすれば、素朴な知性に基づくモデルは徹底した「人間関係志向」です。このモデルはインテグラル理論の中には位置づけることができません。段階的な発達モデルからはみ出したモデルを、僕は「新しい日本的経営」として描写してみたいと思っています。
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ドラッカー勉強会 第5回終了!―『イノベーションと企業家精神』

僕が隔月で主宰している「ドラッカー勉強会」の第5回を2月下旬に実施しました。今回の題材は『イノベーションと企業家精神』でした。
イノベーションの「7つの機会」を体系的に整理した上で、それらの機会をものにするための戦略を論じ、既存の大企業、ベンチャー企業、公的機関がイノベーションに取り組む際のポイントをまとめた1冊となっています。
「7つの機会」とは以下の通りです。
①予期せぬ成功と失敗を利用する
-予期せぬ成功:意外な顧客が意外な使い方で製品・サービスを購入していく現象に注目する。
-予期せぬ失敗:周到に準備したのに失敗した原因を分析する。
②ギャップを探す
-業績ギャップ:需要が伸びているのに業績がついてこないというギャップに注目する。
-認識ギャップ:正しい努力をしているはずなのに業績がついてこないというギャップに注目する。
-価値観ギャップ:自社の価値観が通用しない新しい顧客が出現したというギャップに注目する。
-プロセスギャップ:プロセスの完遂を妨げる重大なギャップ・欠陥に注目する。
③ニーズを見つける
-プロセスニーズ:プロセスの完遂を妨げる重大なギャップ・欠陥に注目する(⇒プロセスギャップと重複)。
-労働力ニーズ:将来的に労働力が圧倒的に足りなくなる問題を解消する。
-知識ニーズ:明確に理解し、明確に感じることのできる知識の欠落を埋める。
④産業構造の変化を知る:産業の急成長期に新しい産業構造を出現させる。
⑤人口構造の変化に着目する:人口統計学的に見て、数十年後に出現することが確実視されている特定の層をとらえる。
⑥認識の変化をとらえる:社会の認識・価値観の変化を利用する。
⑦新しい知識を活用する:いわゆる発明発見であり、歴史を変えるようなイノベーションが多い。
今回、個人的には10数年ぶりに本書を読み返したのですが、第一の感想は「これはイノベーションの本なのか?マーケティングの本ではないのか?」ということでした。
僕の理解では、マーケティングとは「既に存在する顧客ニーズを充足すること」であり、イノベーションとは「まだ存在しない新しい顧客ニーズを創造すること」です。イノベーションは顧客の従来の消費行動やマインドを一変させます。
「プロセスギャップ(プロセスニーズ)」や「労働力ニーズ」は、顧客側の明確なニーズを想定しています。「産業構造の変化を知る」は、市場が急成長している時に生じやすい機会とされ、これもまた顧客ニーズが既にあることを前提としています。それらの機会を取り込むことは、マーケティングではないか?と思えるのです。
実際、本書の終盤にはこんな記述もあります。
「読者の多くは『それはマーケティングの初歩にすぎない』というかもしれない。そのとおりである。マーケティングの初歩以外の何ものでもない。顧客にとっての効用、顧客にとっての価格、顧客にとっての事情、顧客にとっての価値からスタートすることは、マーケティングのすべてである」(p307)
投資ファンドに勤めている勉強会メンバーの1人は、「本書はイノベーションを仰々しいものではなく、多くの企業にとって手の届くものにした本である。徹底した顧客重視を説いた本である。実際、経営者が”狂気じみているほどに”顧客理解に努めている投資先は、業績を急回復させている」と話していました。
僕は、「7つの機会」のうち、①~⑥はマーケティングの話と理解しています。本当のイノベーションは⑦のみだと思います。
「イノベーションはつまるところ経済や社会を変えなければならない。それは、消費者、教師、農家、外科手術医の行動に変化をもたらさなければならない。プロセス、すなわち働き方や生産の仕方に変化をもたらさなければならない」(p162-163)
という定義の方がしっくりきます。
では、なぜそのような大がかりなイノベーションが必要なのでしょうか?それが経済を成長させてきたし、これからも成長させるであろうという答えでは不十分でしょう。
我々人間は、現状維持では死を迎えてしまいます。同じことの繰り返しでは、身体も精神も衰えていきます。だから、常に挑戦することが大切です。
挑戦とは何でしょうか?新たな願望や欲求が徐々に湧き上がってくるのを待って、改善を続けるだけでも十分に思えます。しかし、改善とは過去の資産に対する積み重ねの行為です。そればかりが続くと、我々の資産はどんどん肥大化していきます。肥満が不健康であるのと同様、資産の肥大化も我々の健康を害します。
だから、時々は過去を清算し、これまでのやり方、行動、考え、習慣を否定し、新しい規範や標準を自分の中に打ち立てなければなりません。我々に自己革新を促すのがイノベーションの意義です。イノベーションは人間を、そしてその集合体である社会を腐敗させないために必要なのです。
最後に、やや話が逸れますが、経営コンサルタントとして顧客企業の経営者と向き合う際の心構えを説いた文章があったので引用します。
「創業者の判断や強みを問題にできる外部の人間が必要である。創業者たる企業家に対し、質問をし、意思決定を評価し、市場志向、財務見通し、トップマネジメント・チームの構築など生き残りのための条件を満たすよう絶えず迫っていく必要がある」(p245)
相変わらず、ドラッカーは読み手に厳しい要求を突きつけてくるものです。僕は経営コンサルタントをもう17年ぐらいやっていますが、恥ずかしながらなかなかこのレベルにまでは到達できていません。
「社長のやりたいを形にする」が僕のモットーなので、基本的には社長の望むことをそのまま実現できるよう支援することが僕の仕事の第一だと思っています。8~9割はそのスタンスを保ちたいと考えています。
しかし、残り1~2割は、「これまで社長のやりたいという想いで成功してきたことを今後もそのまま続けてよいか?事業環境や組織は変化していないか?」、「これからやりたいと目論んでいることの前提条件は間違っていないか?」などと、経営者に鋭く問いかけられる第三者でありたいものです。
《過去のドラッカー勉強会》
【第1回】『経営者の条件』
https://tomohikoyato.livedoor.blog/archives/14451844.html
【第2回】『現代の経営(上)』
https://tomohikoyato.livedoor.blog/archives/15276360.html
【第3回】『現代の経営(下)』
https://tomohikoyato.livedoor.blog/archives/16383861.html
【第4回】『非営利組織の経営』
https://tomohikoyato.livedoor.blog/archives/17674693.html
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市場調査会社のデータだけを使って新規市場参入を決めてはいけない(@イタリアン町屋ウエムラ)

「イタリアン町屋ウエムラ」さん(町屋7-22-6)さんで春キャベツとアンチョビのパスタセット1,000円をいただきました🍝
町屋駅近くの立ち飲み居酒屋「晩杯屋(ばんぱいや)」さんが入っているフロンティアワンビルの8階にある穴場的なイタリアンです🇮🇹
ランチはリゾット、パスタ、ピザのセットから好きなものを選ぶことができます😍 セットにはサラダかドリンクがついてきます👍 僕はサラダを選択しました🥗
写真に湯気が映り込んでしまうほどアツアツで運ばれてきたパスタはボリュームもたっぷりで、アンチョビの濃厚な味わいと春キャベツのシャキシャキ感を存分に堪能することができました😸🈵
さて、新規事業を立ち上げる際には、成長が見込まれる市場を発見することが重要です。しかし、安易に流行りに乗っかるのは危険だと感じます。
中小企業診断士という仕事柄、様々な企業の新規事業計画書を見る機会があります。「流行りに乗っかろうとしているだけの企業」と「市場の成長性を考え抜いている企業」の差を簡単に見分ける方法があります。
それは、市場調査会社のデータの使い方です。「流行りに乗っかろうとしているだけの企業」は、市場調査会社のデータのみに基づいて、新市場に参入しようとします。
ネットで簡単に手に入るプレスリリースなどの情報を用いて、「市場調査会社がこの市場は○○年後に○○億円に成長すると言っているから、この市場への参入を決めた」といったストーリーを描いてしまうのは最悪です。
昔、市場調査会社の関係者から、「『市場が縮小している』というレポートは誰も欲しがらない。自ずと『市場が伸びている』というレポートが多くなる」と聞いたことがあります。語弊を恐れずに言うと、市場調査会社のデータは、完全には信用できないのです。
「市場の成長性を考え抜いている企業」は、市場調査会社のデータを参考程度にしか使いません。代わりに重視しているのが、「自ら収集した潜在顧客の声」です。
社長や役員が直接潜在顧客と会い、どんなことで困っているのか?どんな製品・サービスがあると嬉しいのか?と聴きます。
聴くだけでは飽き足らず、潜在顧客の普段の行動を観察し、話していたことと行動に矛盾はないか?その矛盾はなぜ起きているのか?顧客が本当にほしがっているのは何か?と、「声なき声」を拾っている企業もあります。
その内容を反映させている企業の計画書は、たとえ細かいロジックが不十分であったとしても、魅力的に映るものです。
🌞🌻☀🌞🌻☀🌞🌻☀
シャイン経営研究所
代表・谷藤友彦
(やとうともひこ)
➡️@tomohikoyato
🌞🌻☀🌞🌻☀🌞🌻☀
1981年生まれの41歳🎂
土浦市在住🏠
荒川区にぎわいコーディネータ🤝
(区役所の非常勤経営相談員
みたいなものです)
中小企業診断士16年目💪
長くやっている割に、
突出した専門性はありませんが💦
中小企業の経営者様からは、
「私の話をじっくり聞いてくれる👂」
「谷藤さんと話していると、
自分の頭の中が整理される💡」
と言っていただけることが多いです☺
経営でお悩みのことがありましたら、
是非DMを送ってください✉️🙇♂️
対面・リモート支援どちらも可能です🆗
┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯
🔥得意分野🔥
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🍀経営理念策定
🍀事業戦略立案
🍀Webマーケティング
🍀法人営業力強化
┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯
🤔最近のご相談事例🤔
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✅創業者の原体験を深掘りして
自社の経営理念を策定したい
☑️経営理念を具体的に落とし込む形で
事業戦略を構想したい
✅新規案件開拓に向けて、
法人重要顧客のアカウントプランを
作成したい
☑️顧客向けのソリューション提案書の
作成を手伝ってほしい
✅法人営業担当者に対して、
顧客企業の経営課題分析研修を
開発してほしい
☑️新規顧客獲得のために
自社HPのSEO対策をしたい
✅Googleビジネスプロフィールの
運用方法を教えてほしい
☑️営業の材料にも使える
プレスリリースのネタを考えてほしい
✅HP経由の問合せ増を増やすため、
ホワイトペーパーを一緒に作りたい
☑️マーケティングチームの
目標管理や、営業チームとの
コミュニケーションを支援してほしい
✅社員を巻き込んで、会社全体の
ブランドメッセージを固めたい
☑️経営陣の相互理解促進、チーム
ビルディングを支援してほしい
✅求人HPやハローワークに掲載する
求人票の中身を一緒に考えてほしい
☑️求職者の適性・能力を評価する
面接での質問項目を整理したい
✅もう単純に、自分の壁打ち相手・
愚痴相手になってほしい
┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯
🔎事例紹介(随時追加)🔎
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🌟有限会社一誠会様
(荒川区、電気屋)
【テーマ】Webマーケティング支援
https://tomohikoyato.livedoor.blog/archives/16593320.html
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