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【《前回からの続き》2022年5冊目】中野剛志『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(ベストセラーズ、2019年)


財政出動すると、国債発行が増え、財政赤字が拡大します。


これについては、「【常識⑤】いくら日本の民間貯蓄が潤沢だとしても、いずれ民間貯蓄で国債をまかなえなくなる」、⁡
⁡⁡
⁡「【常識⑥】財政赤字が増えると国債の金利が上昇し、インフレが起きる」と我々は教えられてきました。


日本の国債を購入しているのは日本の銀行です。言い換えれば、日本の銀行が日本の政府に資金を貸し出しています。


前回の投稿で、銀行の貸し出しは、保有する資金量の制約を受けないと書きました。⁡
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⁡よって、「【新常識⑤】銀行による国債購入は、保有する民間貯蓄の制約を受けません。それどころか、国債購入によって、それと同等の民間貯蓄(預金)が生まれます」。


また、日本の国債は自国通貨建てです。


外貨建ての国債であれば、財政赤字が拡大すると海外の投資家から返済能力に疑問が投げかけられ、金利が上昇し、ひいてはインフレを引き起こすことがあります。


一方で、「【新常識⑥】国債が自国通貨建てである限り、財政赤字によって過度なインフレが起きることは考えにくいです」。


だから、デフレ下では、【新常識④】で述べたように、政府が積極的に財政出動をしてもいのです。


政府の財政出動によって景気が好転したら税収が増えますから、財政赤字は自然と縮小します。


景気が過熱するとインフレの心配もありますが、税収増には、政府が民間から資金を引き揚げる効果があります。


インフレとは「カネ余り=モノ不足」のことです。民間の資金が減少することによって、インフレは収まります。


我々は、「【常識⑦】税金とは、政府が公共サービスを提供する際の原資になる」と思っています。


しかし、経済学的には、「【新常識⑦】税金とは、財源確保の手段ではありません。経済全体を調整するための手段なのです」。


それでもやはり、「【常識⑧】財政赤字が拡大するのは何となくけしからん」という風潮は根強いです。


ここで、「国内政府部門の収支+国内民間部門の収支+海外部門の収支=0」というマクロ経済の等式を使いましょう。


海外部門の収支はそれほど大きい額ではありません。


政府がよく言う「プライマリーバランスの黒字化を目指す」とは、国内政府部門の収支をプラスにすることです。


すると、国内民間部門の収支がマイナスになります。これは、民間に過剰債務があることを意味します。⁡
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⁡⁡つまり、「【新常識⑧】プライマリーバランスを黒字化すると、民間はバブルになってしまい、大変危険です」。


ならば、「【常識⑨】それほど大きい額ではない海外部門の収支を大きくすればいいではないか?日本は貿易立国でもあるわけだし」という意見もあるでしょう。⁡
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⁡⁡海外部門の収支を拡大するとは、貿易収支を含む経常収支を拡大することです。


しかしこれは、「【新常識⑨】海外の市場から需要や雇用を奪うことを指し、経済学的には『近隣窮乏化政策』と呼ばれる悪手です」。⁡
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⁡周辺国との関係が悪化するので、デフレからの脱却を目的としてやっていいことではありません。


結局のところ、日本がデフレから脱却するには、国債をどんどん刷って財政赤字を拡大し、積極的に公共投資をすればよい、というわけです。なるほどねぇ。


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