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川嶋謙『新規開拓のためのIT営業プロセスマネジメント』(日経BP社、2004年)


中小のITベンダーが大手ITベンダーの下請けから脱却し、エンドユーザである大企業に対して直接提案を持ちかけ、IT以外のコンサルティングソリューションも含めて、大規模&高収益の案件を受注するための方法について解説された1冊です。


著者は、提案の初期の段階で顧客企業の財務諸表を徹底的に分析し、潜在的な経営課題を特定した上で、顧客企業の経営陣にアプローチせよ、と主張しています。


財務分析ねぇ…もちろん大事だとは思います。


中小企業診断士の中には、顧客企業から財務諸表が出てこなければ、絶対にコンサルサービスを提供しないと決めている人もいます。財務諸表を見せてもらえるほど自分のことを信用してくれない企業とは一緒に仕事できないというわけです。


僕もある程度の財務分析はできますが、僕自身はコンサル実務でそれほど財務分析を重視していません。


まず、相手が中小企業の場合、出てきた財務諸表が正しい数字になっているとは限りません。意図しているのか無意識なのかを問わず、中小企業の決算書はたいてい粉飾されています。


相手が大企業の場合は、粉飾の恐れは低いでしょう。しかし、複数事業の合算の値になっているため、やはり財務分析だけで課題の所在地を具体的に絞り込むのはかなり難しいです。


財務諸表に内在する諸問題以上に、僕が財務分析を重視しないもう1つの理由があります。


僕は、顧客企業とは長期にわたって仲良くしたいと望んでいます。


ところで、財務諸表とは、企業の健康状態を示す材料です。


プライベートで友達を作る際、いきなり相手に「健康診断の結果を見せて」とは言いませんよね?


そんなことをしたら、長期的な友人関係など望むべくもありません。


普段、どんなことをしているのか?楽しい思い出はあるか?何に興味があるのか?これから何かしたいことはあるか?そんな会話から友人関係は始まります。


コンサルティングにおける顧客企業との関係の始まりも同じだと思うのです。


現在の事業は何か?過去、印象に残っているお客様やプロジェクトはあるか?社長はどんなことに興味があるのか?会社として今後どんなことに取り組みたいと思っているのか?といった質問から入ります。


だから、最初から「財務諸表を見せてくれ(見せてくれなければ仕事しない)」と仕向けるのは、個人的にはちょっと違和感があるわけです。


友人との関係が深まってくれば、健康のことも俎上に載るようになり、お互いの健康診断の結果を教え合うこともあるかもしれません。


コンサルティングにおいても、顧客企業と関係ができ上がってきてから、財務諸表について話題にするのが僕の理想です。それでも、前述の理由から、財務諸表の数字を鵜呑みにはしません。


まぁ、コンサルスタイルの違いなので、賛否両論あるでしょうけどね。


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