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企業研修を「内製化」する方法を解説した1冊です。


講師が活用可能な研修当日の「教え方のテクニック」や「学習環境のデザイン」についても色々と書かれていますが、僕としては「研修の”前”と”後”にすべきこと」の方が有益でした。


「研究によれば、研修の失敗要因は、


(1)研修前の職場での準備(現場のマネジャーが受講者のレディネスを高めていない。適切な人物が研修に送られてきていない等)が4割、


(2)研修のデザインそのものが2割、


(3)研修後の職場実践とサポート(研修の後に学んだことを実践する機会が与えられていない。あるいは上司・同僚からサポートが得られていない等)が4割


だといいます」(p64-65)


「『研修を開発すること』というのは、教材をデザインすること、ファシリテーションを行うことではありません。


それは、関係するステークホルダー(※筆者注:経営陣や現場など)のニーズを拾い、かつ、『同じ船』に乗せていく『政治的交渉のプロセス』であり、そこには『リーダーシップ』の発揮が求められます。


研修開発のプロセスとは、研修開発担当者が仮説(※)を提示し、関係する人々を巻き込んでいく、リーダーシップの発揮プロセスにほかなりません


(※筆者注:経営・現場・人事の観点から、我が社にはどんな人材が求められているのか?その人材要件を充足する施策の一環としていかなる研修が有効か?という仮説のこと)」(p79)


「研修の目的とは『学習者が学ぶこと』、その上で、学習者に『変化』が起こることです。


教えたとしても、『学習者に変化』が生まれなければ、目的を達成したことになりません。


このことは厳しいようですが、研修の目的を記述するときには、学習者を主語にして、学び手がいかに変化するか、という観点から書くことが求められるのです」(p81)


「研修開発を専門に行う本の中に、『研修のPR』に関する記述を見つけることは、かなり困難をきわめるでしょう。


しかしながら、企業内研修においては、研修内容を的確かつ魅力的に伝える『広報』という視点が欠かせません。


『研修のPR』は、その研修を受講するにふさわしい参加者を集めるという目的においても、研修開発の中で重要なプロセスのひとつといえます」(p157-158)


「本書では、(※筆者注:研修を運営する)事務局の役割とは『研修講師を支援することを通して高い付加価値を発揮すること』と考えます。


事務局の役割とは『内職をすること』でも、『研修のチェックをする』だけでもありません。(中略)


本書の記述の底流にあるのは


『研修は、講師と事務局がコラボレーションしながらつくり上げていくもの』という『信念』であり、


『どんな制約がある研修でも工夫はできるのだ』、という『思い』であり、


また『研修を通じて学びを提供する側こそが、学ぶのだ』という『覚悟』です」(p203-204)


「昨今の研修では、『話し合い=グループディスカッション』などが導入されるケースが多くなっています。(中略)


しかし昨今、このことに問題がないわけでもありません。『安易な話し合い』が、研修に導入され、学習効果につながらない事態が散見されるのです。


実際、研修講師の中にも『では、皆さん話し合ってみてください』と安易に指示を行う人も少なくありません。


話し合いをさせる際は、それなりの『覚悟』を決めなければなりません」(p270)


「おそらく、ほとんどの場合、研修で立てたアクションプランは実行されることがないのではないでしょうか。『誰も実行しないアクションプラン』が世の中にはあふれているように感じています。(中略)


研修で学んだことを行動につなげるために、アクションプランを作成し、吟味する時間をしっかりと確保したいものです。


誰も実行しないアクションプランが存在するということは『研修の意味がないこと』と同義です。実効可能性を少しでも上げる努力を積み重ねることが大切です」(p298-299)


「研修の良し悪しは、多くの場合、研修に参加していない人々(=経営陣と現場トップ)には『不可視』であり、しかし彼らこそが、次年度の研修の決裁権限を有しているからです。


すなわち、研修の持続可能性を決定しうるのは、その研修に参加していない第三者であることの方が多いのです。


彼らに対して、研修中にはどのようなことが起こったのか、結局、どんな効果があったのか、を説明することが重要です」(p324)


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