
先月7/26(火)のことですが、荒川区のLANPというプロジェクトでセミナー講師をしてきました。
LANPとはLocal Akindo(商人=あきんど) Network Projectの略で、荒川区内の商業・サービス業の個店に対して、魅力度向上のための支援や、個店間のネットワーク作りを推進しているものです。
詳しくは荒川区HPをご参照ください。「LANPに興味がある、参加したい」という店舗様がいらっしゃいましたら、僕宛にメッセージを送っていただければと思います。プロジェクトを統括している中小企業診断士におつなぎします。
https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a020/jigyousha/jigyouunei/lanpbosyu.html
LANPでは、月に1回程度のペースでセミナーを開催しています。
僕は今回、「経営者必須!「社長のやりたい」を形にする思考法」というタイトルでセミナーをやらせていただきました。
経営においては、「目的(Why)―目標(What)―手段(How)」の3層構造で物事を考えましょうというものです。
セミナーで僕が伝えたかったことを大まかにまとめるとこんな感じです。
<目的>
・企業のよい目的(=何のために事業をしているのか?)は、ターゲット顧客と顧客への提供価値を想起させる。
・よい目的は、往々にして経営陣の原体験から導かれる。
<目標>
・法人税を払い、借入金を返済し、将来の設備投資のための積み立てを行い、コロナのような不測の事態への備えを可能とする経常利益額を目標として設定する。
・経常利益の目標額から逆算して、目標売上高を設定する。
・企業の目的にかなった目標売上高・利益額になっているか検証する。
<手段>
・目標を達成する手段を、ロジックツリーとMECEの考え方を用いて整理する。
・考え得るあらゆる選択肢を議論の俎上に載せられる点がロジックツリーのメリットである。我々は往々にして、「こんなことをやっても仕方ないよな」と思う施策を無意識のうちに検討から外してしまいがちである。
ただ、こんなことを言うとセミナー主催者と参加者の皆様に怒られるかもしれないのですが、目的ドリブンの思考法には限界もあるのではないかと最近考えています。
もちろん、企業の業績を一時的に大幅に伸ばすには非常に有効です。一方で僕は、弊害も大きいと感じるのです。
目的志向とは、目的を達成するシナリオをどこまでも論理的に突き詰めていくものです。一種の論理万能主義が根底にあります。経営コンサルタントはその熱心な信者になっていることが多いです。
論理万能主義者は、論理的思考を苦手とする人を徹底的に攻撃するという悪癖があります。理詰めで怒った上で、感情的にとどめを刺すという、非常に手の込んだことをします。
僕の前職はコンサルティング会社でしたが、若手の部下に向かってマネジャーが「君死ねば?」と言い放ったり、部下の作成したパワポの資料をびりびりに破り捨てたりといったことが横行していました。
組織の中で目的志向が行き過ぎると、人間関係がギスギスします。
目的志向が厄介なのは、目的志向で物事を考えられない人を排除するだけでなく、たとえ論理思考を得意としていても、そもそもの目的が合致しない存在はやはり排除の対象になるという点です。
企業の場合、企業の目的と合致しない社員は解雇の対象となります。解雇とまで行かなくとも、左遷の対象となります。
経済の世界であれば、他に様々な目的を掲げている企業が外部にありますから、自分の目的と合致する他の企業に転職すれば済むのかもしれません。
ところが、これが国家レベルとなると、国家の目的に合致しない人は他の国家に移動する手段がほとんどなく、完膚なきまでに粛清されてしまいます。
さらに国家は、自らの目的を脅かす他国をも攻撃します。ロシアが戦争をするのは、ロシア人が性格的に野蛮なのではなく、ロシアが究極の目的志向国家であるからです。
目的志向は、目的を一直線に達成しようとするものです。全てを計画的に進めようとするものです。
問題は、そういう人生が果たして楽しいのか?ということです。目的に駆り立てられて、苦しいだけではないでしょうか?万が一目的を達成してしまったら、バーンアウトしてしまうのではないでしょうか?
明確な目的を持たず、偶然の出会いに左右され、予期せぬ方向へと押し流されながらも、実り多き楽しい人生を送っている人は大勢います。
むしろ、個人のキャリア開発論においては、そういう生き方の方が推奨すらされています(例えば、ジョン・D・クランボルツの「計画的偶発性理論」など)。
それが、個人の集まる組織となると目的志向にならなければならないという理由が、僕の中ではいまだに上手く説明できません。
多様な考え方を持つ人たちが、争い合うのではなく助け合い支え合い、偶然をプラスに変えながら楽しく仕事ができるような世界を何とか描写できないものか?と、最近の僕は大げさながらも模索しているところです。
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