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8/25(木)、隔月で実施している「ドラッカー勉強会」第3回を開催しました。ドラッカー名著集15冊を2年半かけて読もうという壮大な勉強会です。⁡
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⁡今回の題材は『現代の経営(下)』でした。


【①コミュニケーションの重要性】
経営管理者は「言葉」を知らなければならない。(特に大企業における)今日の経営管理者には、読み、書き、話し、数字で表す能力が欠けているとドラッカーは指摘する。


『現代の経営(上)』には、マネジメントには「管理の限界」はないというくだりもある。⁡
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⁡管理の限界とは、マネジャーが一度に見ることができる部下の数には限界があるという、経営学の通説である。


ドラッカーに言わせると、言葉を正しく使うことができれば、部下の仕事を定義し、目標を設定し、動機づけ、成果を測定するという経営管理者の仕事が適切に遂行できるわけで、その範囲に限界はない、ということになるのであろう。


ただ、人によっては「非言語的な手段」によって自らの仕事を把握し、自らの気持ちを高めるタイプもある。⁡
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我々は、非言語的コミュニケーションについてもっと理解を深める必要がありそうだ。


【②スタッフ機能に気をつけよ】
ドラッカーは「スタッフ機能は成果に責任を持たないから、組織はスタッフ機能など持つべきでない。経営管理者の仕事に組み込むべき」と言い切っている。


ただ、ここで言うスタッフ機能が何を指すかは曖昧であり、人事、経理、情報システムなどをスタッフ機能と呼んでよいかは議論の余地があるだろう。⁡

⁡⁡⁡というのも、それらは事業の成果に直接貢献する目標を設定することが可能だからである。


問題になりやすいスタッフ機能とは、「経営企画室」である。


本来、各事業部の経営管理者が実務上の責任を負うべき仕事を経営企画室が取り上げ、トップマネジメントの権威の笠を着て、現場に口出しだけをするようになると、組織は必ず崩壊する。


【③中小企業のマネジメントを高度化する】
中小企業は機能別組織であることが大半であるが、機能別組織は専門性を追求するあまり全体を俯瞰する視点に欠け、企業を統合的にマネジメントする能力が育たない(とりわけ、後継者が育たない)ことをドラッカーは問題視している。


だから、中小企業は買収によってまず規模を大きくせよと言う。とはいえ、買収にも高度なマネジメントが求められるから、ほとんど現実的ではない。


それを知ってかドラッカーは、それが無理なら社外取締役を迎え入れて外部の視点を取り入れよと主張する。⁡
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⁡半世紀以上も前に社外取締役の必要性を説いている点は慧眼である。


まずは、機能別組織の長を集めてトップマネジメントのチームを結成し、トップマネジメントとしての役割を分担する。⁡
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⁡そして、チームを機能させるために、経営コンサルタントや中小企業診断士といった外部の専門家の力を借りることが有効であると考える。


しかし、その有効性をどうやって実際の中小企業の経営者に理解してもらえばよいかは、いつも頭を悩ませるところである。


【④直観的な意思決定の重要性】
ドラッカーは、定量情報に基づいて分析的に意思決定することをよしとしている。⁡⁡

だが、経営においては、時には定性的・直観的に意思決定しなければならない局面があるのではないか?


現状維持とは死である。企業は存続するために常に新しいことに挑戦しなければならない。⁡
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とはいえ、新しいことが事前に定量情報によって分析的に明らかになるのであれば、それはもはや新しいこととは呼べない。


新しいことには不確定要素がつきものである。それを「確からしいもの」にするのは、ストーリーの力である。ストーリーには定性的・直観的要素が多分に含まれている。


トップマネジメントはビジョンを示し、人々の心を鼓舞し、社員に「きっとできそうだ」と思わせることが重要である。⁡
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⁡そして、最後は自分が腹をくくるという勇気を示すことが重要である。その対価として、トップマネジメントは高い報酬を得ている。


【⑤動機づけの方法】
ドラッカーは人間関係論を批判し、職場の人間関係に「満足」するという受け身の気持ちだけでは、動機づけとしては不十分だと喝破する。


企業で働く人は「責任」によって動機づけしなければならない。⁡
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⁡そのために人を正しく配置し、高い成果を要求し、仕事が適切に遂行されているかモニタリングできる情報を与え、さらにマネジメント的視点を持てる機会に参画させるべきだと主張する。


ドラッカーは、むしろ現状に不満を抱えている者の方が、職場の将来を変えてやろうという前向きなモチベーションを持っているから望ましいとすら言う。


とはいえ、不満をプラスのエネルギーに変えられるマゾヒスティックな人というのは少数派ではないだろうか?


一般的には、現状に満足しているから将来も頑張ろうと思う人の方が多いであろうことを踏まえると、社員満足度を高めることには依然として一定の意義があると思われる。


【⑥新しい経営学の必要性】
⑤とも関連するが、ドラッカーが前提としている人間像、そしてドラッカーが人間や企業に要求することは、ややもすればレベルが高すぎるのではないか?という問題認識を最近は抱いている。

ドラッカーが体系化したマネジメントの原理原則を否定する気は毛頭ない。⁡
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⁡しかし、誤解を恐れずに言うならば、ドラッカーの経営学は「全員、東大に行け」と言っているようなものだ。

そのぐらいレベルが高いのである。

実際には東大に行かなくとも社会的に影響のある成果を上げることは可能である。ただし、その方法が未だ体系化されていない。

ドラッカー経営学が誕生してから半世紀以上が経過した今、我々は新しい経営学を確立する時期に差しかかっていると感じる。⁡

個人的には、ドラッカー経営学を含む伝統的経営学というのは、⁡
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⁡ⅰ)明確な目的を持った企業が、⁡
⁡ⅱ)徹底した顧客分析・競合分析を通じて自社のポジショニングを発見し、⁡
⁡ⅲ)自らの強みを活かして、⁡
⁡ⅳ)合理的な戦略をデザイン・実行する⁡
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⁡点に特徴があると考える。

しかし、目的志向はその目的にそぐわない者を排除するという点で、他者への不寛容を生む。⁡
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⁡また、顧客・競合分析は、自社を顧客ニーズに従わせ、競合他社の動きを常に意識しなければならないという点で、自分の軸を失わせる。⁡
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⁡それは非常に苦しいことである。

さらに、ドラッカーは強みとは卓越性のことだと言うが、突出した強みを持つ人など限られている。⁡
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⁡それに、多くの人はあらかじめ合理的な戦略を描けるほど成熟していない。

僕が大切にしたいのは、⁡⁡
⁡ⅰ)明確な目的がなくとも他者と手を携え、⁡
⁡ⅱ)楽しいという自分軸を大切にしながら、⁡
⁡ⅲ)たとえ目立った取り柄がない凡人であっても、⁡
⁡ⅳ)偶然の出来事をプラスに変えて成果を上げる、⁡
⁡⁡
⁡という経営である。

(これを、僕が大好きな「水曜どうでしょう」になぞらえて、「どうでしょう的経営」と呼んだこともある)

これは単なる「場当たり的な経営」だと言われるかもしれない。そして、実際に多くの企業は場当たり経営をしている。

ただ、場当たりの中にも、「よい場当たり」と「悪い場当たり」があるはずである。僕はその境界線を明らかにしたいと思っている。

ドラッカーの原理原則を知らずに場当たり経営をするのは、ただの我流である。ノイズである。⁡
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⁡一方、ドラッカーの原理原則という型を守った上で、それを破る例外としての場当たり経営を提示することは、社会的に意義があると信じる。

いつの時代も、パラダイムは辺境から出現するものである。

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