
2か月に1度受けているコーチング、今回が3回目でした。
最近の僕は、「人脈が少ない」ことで悩んでいました。社会人になってから20年近く経つのに、また中小企業診断士になってから15年が経つのに、あまり人脈が広くないのです。
僕が最近「新しい日本的経営」とか「水曜どうでしょう的経営」という言葉で表現しようとしているのは、
「多様な背景、経験、信条、価値観、嗜好、能力を有する人たちが、特段の目的もなく集まり、お互いを排除せずに状況に応じて協業し、偶然性を手がかりとして、楽しみながら何とか事態を予想外の方向へ好転させようとする経営」
のことです。
つまり、「豊かな人脈」を重要な資源としています。それなのに、当の提唱者が人脈に乏しいのでは、格好がつかないと感じていました。
コーチは、一般的な問題解決の技法を僕に適用しませんでした。
代わりに、「人脈が乏しくて悩んでいる谷藤さんは、何を感じていますか?その感情と向き合ってみませんか?」と問いかけてきました。
コーチは、「身体のどこがどんな感じになっていますか?」と、僕の身体の声に耳を傾けるよう促しました。
僕は、身体が重くて心に穴が開いている、自然に猫背になってしまう、と答えました。
コーチはさらに、僕の視界や音にも注意を向けさせました。「その時、谷藤さんには何が見えていますか?何が聞こえますか?」
僕の視界の中央には、グレーの太い横線が入っています。肝心なところが隠れて見えないイメージです。
音に関しては、何も聞こえませんでした。
そして、音の話題になった時、僕はある事実を思い出しました。
精神的に他人よりも波がある僕は、気分が落ち込んでくると、日常生活の中の些細な音が煩音に聞こえてしまうという習性があります。
例えば、道路やカフェで携帯電話を使う人の声にネガティブな反応を示します。さらに、本当はよくないことだと頭では理解しているのですが、時には視覚障碍者が白杖で道路を突く音もうっとうしいと感じてしまいます。
これらの音には、「僕にとってのストーリー性がない」という共通点があります。僕にとって意味がない音は、僕の中に入ってきてほしくないと拒否してしまうわけです。
しかし、ここで僕はある矛盾に気づきました。人脈を求めている僕は、僕とは異なる何かを持っている人たちに「僕の中に入ってきてほしい」と望んでいます。それなのに、僕の中には、「僕の中に入ってきてほしくない」と願う自分もいるのです。
コーチは、「自分の中に入ってきてほしくない谷藤さんは、一体何を大事にしているのでしょうか?」と尋ねました。
ストーリー性がないものを拒絶してしまうということは、裏を返せば、入ってきてほしくない自分は一貫性のあるものを大切にしようとしていることです。逆に、入ってきてほしい自分の方はと言うと、一貫性のないものでも歓迎しようとします。
この葛藤をどうすればよいのか、僕は頭を抱えてしまいました。すると、僕の苦悶を見抜いたコーチはすかさず、「今、谷藤さんは身体のどの部分に何を感じていますか?」と、気持ちの言語化を求めてきました。
僕は、まず左胸の辺りが苦しいと返答しました。続けて、その苦しみが僕の頭に移動して、頭を掻き乱しているようだと説明しました。
「谷藤さんはどうしても思考で処理しようとしてしまうのですね。谷藤さんの中に、谷藤さんが2人いてもいいのではないですか?」
この言葉で僕は目から鱗が落ちました。そうか、僕の中に異なる立場の自分がいることを素直に認めればよいのか!
一貫性を求める態度は、僕の言うところの「伝統的経営」に対応します。他方、一貫性を求めない態度の方は、「新しい日本的経営」、「水曜どうでしょう的経営」に対応しています。
最近の僕は、顧客企業によって伝統的経営を実現するためのコンサルティングを行うケースもあれば、新しい日本的経営を実現するためのコンサルティングを行うケースがあってもよいと思っています。
ただ、僕はまだ「そうすればよい」と「思っている」だけで、「それでよいのだ」と心の底から「信じる」ことができていないことを痛感させられました。
苦しみを感じている時の身体の反応に深く向き合うことで、単なる問題解決的技法では得られなかったような深い自己理解に到達できたのが今回のコーチングの成果です。
コーチングが終わって改めて振り返ってみると、僕の人脈形成を阻害しているのは、「相手に一貫性を強く求めすぎる態度」だったようです。
僕は「その主張に一貫性がないのに、一貫性があると思い込んでいる人」を遠ざけてきました。人間は所詮完璧になどなれないのに、自分の主張は完璧だと信じて疑わない人のことが僕は非常に苦手でした。
ところが、「一貫性がないのに、自分の主張に一貫性があると思い込んでいる人」とは、外ならぬ僕自身のことだと発見しました。僕は自分のことが嫌いで、その結果、相手のことも好きになれなかったようです。
だから、あるがままの自分、自分の中に複数の立場があって一貫しない自分を好きになれば、他者のことをもっと自然に受容できるはずです。
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