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チェンジエージェント、サーベイ・フィードバック、対話型組織開発、学習する組織、ティール組織、ビジョナリーカンパニー、デリバリング・ハピネス、心理学的経営、ワイズカンパニーといった、組織開発を語る上で外せないキーワードについて解りやすく説明されています。

最近、あるクライアントとの間でティール組織が話題に上がったので、特にティール組織に注目して読んでみました。

2014年、フレデリック・ラルーは世界中の組織を調査し、新しい組織モデルについての考察をまとめて『Reinventing Organizations』を発表しました。その中で紹介されたのが「ティール組織」です。日本では2018年に『ティール組織』(英治出版)というタイトルで邦訳され、それをきっかけに一気に注目されるようになりました。

ティール組織は、アメリカの思想家でありトランスパーソナル心理学者でもあるケン・ウィルバーの「インテグラル理論」を下地にしています。

インテグラルとは「統合的」という意味であり、自然科学・社会科学・人文学といったあらゆる学問を統合し、包括的に考察しようという試みから生まれた理論です。

その中に、「人間の成長過程の発達モデル」というものがあります。人は大人になっても成長していくという考え方で、その段階を色で表現しています。

<低次>
↓レッド(利己的段階):衝動・自由
↓ブルー(神話的段階):信念・忠誠
↓オレンジ(合理的段階):分析・戦略
↓グリーン(多元的段階):価値・自己探究
↓イエロー(統合的段階):再構築・心身統合
<高次>

ラルーは、この発達モデルを組織にあてはめ、組織も成長・発達を続けられるとしました。

<低次>
↓レッド(衝動型):圧倒的な支配者がトップに立つ組織
↓アンバー(順応型):トップダウンの階層的構造を持つ組織
↓オレンジ(達成型):目標達成を第一に考える合理的な組織
↓グリーン(多元型):メンバーが主体的に行動できる組織
↓ティール(進化型):個人が意思決定できるフラットな組織
<高次>
(*)ラルーはブルーの代わりにアンバーを、イエローの代わりにティールを用いています。

従来の経営学はオレンジに対応しています。組織内外の環境を緻密に分析して合理的な戦略を立案し、戦略を現実の目標に落とし込んで、論理的な手段によってそれを実現するというものです。

『図解 組織開発入門』では、「オレンジ達成型として勝ち続ける組織モデル」(p164)としてジム・コリンズのビジョナリーカンパニーが紹介されています。コリンズは現代経営学の父であるピーター・ドラッカーを尊敬していましたから、ドラッカーもまたオレンジ型であると言えます。

そして、近年のアメリカでは、「ドラッカーはもう古い」と評価されるようになっています。組織が合理性を最優先した結果、何が起きたでしょうか?

まず、組織間では、どの組織も自らが掲げる目的が最も合理的であると信じ、目的の正当性をめぐって果てしない競争が続くことになりました。また、組織の合理性とは一般に経済合理性のことであり、経済的な価値を追求するあまりに、環境問題をはじめとする様々な社会的課題を残しました。

組織内部に目を向けると、合理的な分析・戦略立案ができる人が偉いとされ、そうでない人は人間的価値を貶められました。一部の経営企画スタッフや経営コンサルタントは、往々にして現場を軽視してしまうものです。

端的に言えば、組織間と組織内の両方で、深刻な断絶を生み出してしまったのです。

グリーンやティールとは、バラバラになった社会を再統合する知性です。

社会のメンバー全員が社会のあらゆる課題に目を向け、その多様性に驚かされつつも、課題の背後にある従来の価値観、文化、思考、行動様式、慣習、制度、構造を丁寧に疑い、新しい秩序の下に新しい包摂的な社会をともにデザインしていく、というものです。

つまり、社会的なイノベーションを民主化する動きです。

ただ、個人的には、ここまで壮大な話ではなく、もっと「素朴な知性」を前提とした話があってもよいのではないか?と感じます。

ティールでは、①大きな共通の目的を設定し、②目的を阻害する課題を特定し、③課題の解決に向けて社会のメンバーが利他の精神で臨むことが求められます。

しかしながら、①広範な多様性を包摂する共通の目的を本当に設定できるのかは大いに疑問です。せいぜい、ざっくりとした合意が関の山ではないでしょうか?また、②我々が大きな社会課題の前に理解すべきは、目の前にいる人間そのものではないかとも思えます。

さらに、③利他の精神はもちろん重要ですが、同時に自分らしさを発揮し、楽しくありたいものです。そうしなければ、我々は人間性を失い、単に他者のニーズを充足するだけの道具になり下がってしまうからです。

ティールが「課題志向」のモデルであるとすれば、素朴な知性に基づくモデルは徹底した「人間関係志向」です。このモデルはインテグラル理論の中には位置づけることができません。段階的な発達モデルからはみ出したモデルを、僕は「新しい日本的経営」として描写してみたいと思っています。

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