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【書き下し文】
子の曰わく、学んで思わざれば則ち罔(くら)し。思うて学ばざれば則ち殆(あや)うし。
(為政第二 第十五章)

【現代語訳】
先生がいわれた、「学んでも考えなければ、〔ものごとは〕はっきりしない。考えても学ばなければ、〔独断におちいって〕危険である。」

僕はこの文章を次のように読み替えたいと思います。「学んでも実行しなければ、物事ははっきりしない。実行しても学ばなければ、独断に陥って危険である」。

最近、リスキリングと称して、社員の教育研修に多額の投資がなされるようになっています。しかし、いくら研修で素晴らしいことを学習しても、現場でそれを実践することができなければ、投資はムダになります。

僕は、研修が現場で効果を発揮するには、4つの条件が必要だと考えます。

1つ目は「業務改革」です。しばしば、「研修で新しいノウハウや手法を学んでも、現場で使う機会がない」という声を聞きます。こうした事態を防ぐには、新たなノウハウや手法の活用が必須となるような業務プロセスに、あらかじめ変えておくことが大切です。無駄な業務を省き、新しい業務を実践できる余地を作っておかなければなりません。

営業担当者にソリューション営業研修を実施するのであれば、従来の御用聞き営業を止め、ソリューション営業のステップを営業プロセスの中に組み込む必要があります。マネジャーにコーチング研修を実施するのであれば、余計な調整業務を取り除き、部下へのコーチングをマネジメントの一環として位置づける必要があります。

2つ目は「上司の理解」です。いくら受講者の業務が新しくなっても、上司の頭の中が古いままだと、「研修と仕事は別だから、私(上司)の言う通りにせよ」などと、上司自身の過去の体験を受講者に押しつけてしまいます。

研修を実施する際には、受講者だけでなく、上司の頭の中もアップデートしなければなりません。最も望ましいのは、受講者と同じ研修を上司にも受けてもらうことです。ただし、時間的に難しい場合は、短時間でもよいので上司に対する説明会を設けることが助けとなります。

3つ目は「ITによる業務支援」です。新しいノウハウや手法を受講者が全て自力で行うと負荷がかかります。その負荷を少しでも低減できるよう、活用できるITはとことん活用したいところです。

先ほどのソリューション営業の例で言えば、営業プロセスの進捗を管理するSFAなどのシステムを同時に導入すると効果的です。コーチングの例で言えば、部下に効果的な質問を投げかけるのを支援してくれるAIの導入が考えられるでしょう。

4つ目は「評価制度」です。研修で学んだことを実践したら適切に評価される仕組みに変えることが極めて重要です。人間誰しも、評価されないことは進んでやらないものです。

現場での実践が積み重なっていけば、個々の社員の中に個別のノウハウが溜まっていきます。それをそのままにしておくと、業務が属人化し、業務の引き継ぎや、新しく入社した社員への教育が難しくなってしまいます。

そこで、個々のノウハウを吐き出し、組織共通で使えるナレッジへとまとめ上げ、それを再び個々の社員の中に落とし込むことが大切です。一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏が「SECIモデル」として提唱したものです。

SECIモデルでは、個々の暗黙知を形式知化する「表出化(Externalization)」、個々の形式知を組織の形式知へと統一する「連結化(Combination)」、形式知を各人が暗黙知として理解する「内面化(Internalization)」、各人の暗黙知をOJTなどの共通の体験を通じて共有する「共同化(Socialization)」という4つがサイクルをなしています。

僕が知っているある研修会社は、顧客企業に対して、通常の研修の他に「ノウハウ共有会」というサービスを提供しています。講師がファシリテータとなって、集まった受講者に対し、次のような問いを投げかけていきます。

・最近、上手く行った仕事は何か?
・なぜそれは上手く行ったのか?どんな点を工夫したのか?上司や同僚、部下をどのように活用したのか?
・成果を出すまでに苦労したのはどんなところか?どうやってその苦労を乗り越えたか?
・それぞれの受講者のノウハウを総合すると、我が社の”勝ちパターン”は何だと言えるか?
・その勝ちパターンを明日から現場でどのように実践するか?

ノウハウ共有会を成功させる上でも、「評価制度」を変えることは大切なポイントとなります。とりわけ、営業担当者同士でノウハウを共有する際には非常に重要です。というのも、営業担当者は自分のノウハウを教えると、他の営業担当者に自らの受注を横取りされるのではないかと恐れるからです。

ある企業では、この問題を回避するために、「本人の営業成績」に加えて、「他者への貢献度」を評価項目としたそうです。他の営業担当者の成果創出につながるノウハウを積極的に開示した営業担当者が評価されるという仕組みです。

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