2024年振り返り(ブログ用)

2024年の振り返りにあたり、自分で5つの問いを設定し、自ら答えてみました。

【1.「伝統的経営」に基づくコンサルティングは成果を上げたか?】
伝統的経営とは、創業者や経営者の原体験に基づく経営理念・ビジョンを重視する経営のことです。今年も主に、経営理念を社内に浸透させる施策を立案したり、経営理念から導かれる戦略を日々の営業活動へと落とし込んだりするコンサルティングを実施しました。その結果、既に今年度の売上高が過去最高になることが見えている顧客企業もあります。

一方で、今年は1つ大きな反省をした年でもありました。それは「経営理念だけでは社員のモチベーションアップはできない、社員の離職を防ぐことはできない」ということです。

先日、F・ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」という有名な調査結果を見返してみました。ハーズバーグは、仕事に対する満足をもたらす要因と不満をもたらす要因が異なることを示し、前者を動機づけ要因、後者を衛生要因と呼びました。

動機づけ要因としては、仕事の達成感、責任範囲の拡大、能力向上や自己成長、チャレンジングな仕事などが挙げられます。一方、 衛生要因には、会社の方針、管理方法、労働環境、作業条件(金銭・時間・身分)などがあります。

動機づけ要因を与えることにより、満足を高め、モチベーションを向上させることができます。これに対して、衛生要因に対して手を打つことにより、不満は解消されるものの、そのことが満足感やモチベーションを高めるとは限らない、というのがハーズバーグの主張です。

ここで注目したいのは、衛生要因の中に「会社の方針」があるという点です。経営理念も会社の方針の一部です。つまり、いくら立派で骨太な経営理念を掲げても、それが社員のモチベーションアップにつながるとは限らないのです。

現場の社員にとっては、遠い先にある経営理念の存在よりも、日々の仕事の中で達成感が味わえ、貢献領域が広がり、自身の成長実感が得られることの方がはるかに重要です。そういう仕掛け作りにもっと強いコンサルタントにならなければいけないと感じました。
《参考記事》
最近注目の「エンゲージメント」をめぐる個人的葛藤
【2.「新しい日本的経営」を深化させ、実践することができたか?】
新しい日本的経営とは、伝統的経営に対する一種のアンチテーゼとして僕がアイデアを温めているもので、偶然、直感、身体知を重視する脱目的的な幸せの経営のことです。「PDCAサイクル」と対比させる形で、「STARサイクル」というフレームワークを提示しています。

今年から、土浦市内のとある古民家カフェで開かれている読書会とまちづくり勉強会に参加するようになりました。どちらも、読書会や勉強会を通じて何か実現したい明確な目的が最初からあるわけではありません。まずは、本好きやまちづくりに関心を持つ有志がその場に集まるという「状況(Situate)」が設定されているだけです。

読書会や勉強会には、決まったアジェンダはありません。メンバーは自分が最近読んだ本の話を好きなようにし、あるいはまちづくりについて思うところを好きなように話すという、非常に緩やかな雑談が展開されます。その流れを読むことは不可能であり、話は完全に「放浪(Tramp)」しています。

それでも、「相互フィードバック(Active Feedback)」を繰り返すうちに、「この人はこういう本に興味があるんだ」とか、「この人はまちの中でこういうことをやってみたいと思っているんだ」といった具合に、メンバー間の理解がだんだんと深まっていきます。

すると、「この人とこの人がつながったらこんな面白いことができるのではないか?」と「結びつけ(Relate)」が生じ、新しいアイデアが動き出します。実際、読書会からは古本市のイベントが、まちづくり勉強会からは地元の空き地・空き部屋活用に向けたプロジェクトが発生しています。

来年も、新しい日本的経営の実践を通じて、知のストックを積み上げていきたいです。STARサイクルという土台はできましたが、製品・サービスはどのように開発すればよいのか?人材をどのような基準で採用し、育成するのか?組織・チームとしての一体感はどう醸成するのか?IT化はどのように進めればよいのか?など、まだまだ考えなければならないことは山積みです。
【3.インプット(主に読書)とアウトプット(主にブログ)の質は向上したか?】
2012年から2022年まで11年連続で達成していた「年100冊以上の読書」の記録は昨年途切れました(昨年は64冊)。この時、そろそろ量より質を追求するべき時期に来ているのではないかと考え直しました。今までは中身の薄いビジネス本も1冊としてカウントしていたのですが、読んでもろくに記憶に残らないような読書をするよりも、1冊1冊にもっとじっくりと向き合いたいと思うようになりました

今年はビジネス本の数を抑え、意図的に政治系の本を増やしました(結局、今年読んだのは80冊でした)。「複雑で解のない世界をいかに生きるか?」、「多様な価値観を持った主体はどうすれば共存できるか?」について、経営の世界とは違った角度から考えさせられることが多かったです。

ただ、相も変わらず、僕のインプットが本に偏っており、人の話やWeb・SNSの情報からのインプットが少ないという課題があります。本は理論的構成が比較的しっかりしているのに対し、人の話やWeb・SNSの情報は生煮えのことが多いことを理由に、どうしても敬遠してしまう癖があるのです。

とはいえ、「新しい日本的経営」で人間は不完全な存在だという前提に立ち、コミュニケーションにおける偶発性を重視するのであれば、僕自身がそういう情報をもっと取り入れていかなければならないと感じています。

アウトプットに関しては、2005年から続けているブログが20年目を迎えました。僕のブログは書評が中心なのですが、昔は本の内容を換骨奪胎し(悪く言えば踏み台にし)、自分の言いたいことを好き勝手に書き殴るというスタイルでした。ただ、これだと後から記事を読み返した時に、本の内容が思い出せないのが難点でした。

そこで、昨年の終わりから、記事の構成を「《本の要約》+《僕の感想》」という形に変更しました。こうすることで、記事を再読した際に、本の内容と自分の見解を区別して把握できるようになりました。ただ、ブログを20年やっている割に、未だに自己満足の域を出ないので、来年はもっと読み手の問題意識に訴え、共感を得られるような文章を書きたいと思います。

【4.自分を成長させるチャレンジに取り組めたか?】
今年の初めに、英会話(日常会話ができるようになる)と自動車運転(ペーパードライバーを卒業する)に取り組むという目標を立てました。しかし、残念ながら両方とも断念する結果となりました。

今年の前半は週1回の英会話スクールに通っていたものの、学習の頻度が絶対的に足りず、成長の手応えを得られずに辞めてしまいました。やはり毎日30分でもいいので、自分でリスニングとスピーキングを練習する習慣を作らないと、英語の上達は見込めないと痛感しました。来年は、英語の勉強を中心に1週間の予定を立てるという形で、もう一度英語力アップに挑戦したいと思います。

自動車の運転に関しては、今年の後半に自動車学校のペーパードライバーコースに通っていたのですが、どうにもこうにも運転を好きになれませんでした。元来の神経質な性格のせいなのか、公道を運転していても、「対向車に接触したらどうしよう」、「いきなり歩行者や自転車が飛び出してきたらどうしよう」、「信号や停止線を見落としたらどうしよう」などと常におびえてしまいます。僕はそもそも運転に向いていないのでしょう。

土浦市という地方都市で自動車が運転できないのははっきり言って痛手です。ただ、ここは発想を変えて、自動車ありきのまちづくりから脱却し、自動車がなくても生活が成り立つようなまちづくりを自分で手がけることにします。

当初の想定にはなかったことで、来年チャレンジしたいことが1つ生まれました。

ある50代の社長の相談に乗っていたら、「65歳でいったん会社を畳んで、個人事業主として再出発することを検討しているがどう思うか?」、「役員報酬の未払い分が未払費用として膨らんでいるのだが、少しずつ返してもらうのと退職金として一括で受け取るのとどちらが有利か?」などと質問され、僕の専門から外れているので答えに窮してしまったことがあります

今までは会社の成長・発展を実現する経営コンサルティングを提供してきましたが、規模が小さい企業であればあるほど、社長の人生の見通しに合わせたマネープランの設計も同時に行わなければならないと気づかされました。そのため、来年はFPを受験してみようかと思っています。

【5.心身の健康に気を遣うことはできたか?】
僕には約15年前に発症した精神疾患の影響が残っていて、時折体調ががくんと悪くなることがあります。2023年は本当に体調が優れない年で、まともに仕事ができない月も何か月かありました(それでも入院はせずに済みましたが)。

2024年も当初は体調が戻らず苦労したのですが、4月頃からだんだんと仕事にも意欲的に取り組めるようになり、読書やブログ執筆のペースも戻ってきました。おそらく、腰痛対策のために理学療法士から勧められた散歩を毎日継続するようになったことが功を奏したのではないかと思います。

心と身体はつながっており、心をケアするには単に休息を十分に取るだけでは足りず、まずは身体を動かすことが大切なのでしょう。「心技体」とよく言いますが、僕は「体心技」の順番だと考えます。つまり、基礎的な体力や運動の習慣がベースにあることで心が整い、その上で初めて技能や技術を磨くことができるというわけです。

僕は30代の頃に5回入院を経験しました。入院のインターバルが一番長かったのは、2012年9月(1回目の入院)~2017年8月(2回目の入院)の間の4年11か月です。そして、5回目の入院が2020年1月であり、今月を乗り切ることができれば、最長のインターバルを更新することができます。これは僕にとって非常に大きいことです。

来年も心身の健康に気をつけます。最近、加齢に伴う体力の低下を感じるので、もう少し運動の負荷を上げたいと考えています。毎日の散歩に加えて、幽霊会員状態のフィットネスジムに定期的に通い、また今年エントリーだけして当日走るのを断念してしまったかすみがうらマラソン10マイルにもトライするつもりです。

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