《要点》◆ロールズは学生時代、宗教哲学に触れていた。卒論はキリスト者としての立場から書かれたものである。その中には人格間の関係性の重視、メリット(=人間の長所や利点)のとらえ直しといった論点が含まれており、後年の政治思想を先取りしていて興味深い。ただ、ロ ...
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カテゴリ:書評 > 政治思想
【要約・感想】渡辺靖『リバタリアニズム』―リバタリアニズムはアメリカに政治的イノベーションを迫れるか
《要点》◆アメリカでは自由市場・最小国家・社会的寛容を重視するリバタリアン(自由至上主義者)が若者の間で増えている。彼らは、経済的には保守(自由な競争を重視)、社会的にはリベラル(自由な価値観を重視)である。リバタリアニズムの理想の実現に向けて、「フリー ...
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【要約・感想】水島治郎『ポピュリズムとは何か』―ポピュリズムとイノベーションの近接性
《要点》◆ポピュリズムには、①固定的な支持基盤を超え、幅広く国民に直接訴える政治スタイルであるとする定義と、②「人民」=「下」の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動だとする2つの定義がある。本書では後者を採用する。各国のポピュリズム政党が標的とする ...
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【要約・感想】佐伯啓思『自由とは何か』―現代リベラリズムの弱点を突く1冊
《要点》◆最初に、自由をめぐる2つのジレンマを指摘したい。1つ目は、1990年代の経済構造改革や、2003年のイラク人質事件で見られた「自己責任論」についてである。自己責任論は、個人が自由を有する限り、その結果責任も個人が引き受けなければならないと言う。しかし実際 ...
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【要約・感想】山本圭『現代民主主義』―「闘技民主主義」というリアリズムに惹かれる
《要点》◆現代の民主主義は、担い手としての市民の規範的な意味を追求しているが、20世紀前半の民主主義論の関心は、市民よりもむしろ大衆を教え導く「指導者」に向けられていた。マックス・ウェーバーは、強大なカリスマ的資質を備えた指導者のみが、大衆を導き、官僚制を ...
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